シャツを脱がせ終わった旭は、自分のよりも逞しいその胸に手を這わせた。いつもの温かさを求めて体を寄せると、少しだけ躊躇った後、圭一も腕を回してきた。旭が頬を押し付けると、圭一の手にもぎゅっと力がこもる。
「……お前のことを信じてないとかじゃない」
「うん、分かってる」
それでも、きっと圭一は、常にそこで葛藤している。
お前が不安に思う必要なんかないのに。
もう記憶を失くしてしまう必要なんかないのに。
……なあ。ちゃんと考えろよ。
俺に流されるんじゃなくて、自分がどう思うか考えろ。
……やっぱり痛いんじゃないか。痛かったら言えって言っただろ。
いつだって、圭一はそうやって旭の本心を探り、尊重しようとしてくれていた。
自分が無理強いしたのかもしれないと思えば、耐えられずに記憶を消してしまうほどに。
――そんなことをしていたら、そのうち旭にも嫌われてしまうから。